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消費者の地球温暖化問題に対する意識は、確実に深化しているように見える。
上の世論調査が示すようにヨーロッパではいうまでもないことだが、米国においても、地球環境に対する意識は高まっている。
米国連邦最高裁が「二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガスは大気汚染物質である」との判決を下した翌日、「ウオールストリートジャーナル」誌が実施した読者調査では、「米国政府は大気浄化のため、より厳しい規制をすべきか?」との問いに対し、71%が賛成、29%が反対票を投じた(回答者数3863名)。
この結果は、米国においてもインテリ層は、厳しい規制を容認する考え方を持っている証拠として注目を浴びた。
英国では、真面目に「個人排出権取引制度」を導入するべきか否かの議論がすでに始まっている。
すべての個人に、無償で排出権を付与したうえで、購買行動ごとにカードを使って排出権を引き落とさせる。
割当量以下しか使用しなかった個人は、割当量以上に使用したい個人にそれを売るという仕組みで、国会の論争のなかでも取り上げられているアイデアである。
これを配給制の統制経済だと酷評するか、温室効果ガスを総量で削減できる最も確実な方法と評価するかは立場の分かれるところだろうが、世界の最前線ではすでにこうした議論があることは認識しておくべきであろう。
株主からの圧力も強まっている。
2007年5月、ISSコーポレートサービスと社会的責任投資フォーラムが発表した米国の「2007年の株主提案調査」によると、雇用機会の均等などの社会問題や地球温暖化などの環境問題に関連して米国の上場企業に提出された株主提案は5月までに359にのぼっている。
これは、史上最高のペースだという。
このうち、地球温暖化に関連したものは39件。
前年の30件からさらに増えた。
内容は、エネルギー効率化のための対策、気候変動にどう対応するかという戦略の株主への開示、温室効果ガス排出そのものの削減、再生可能エネルギーの採用を迫るものだ。
2006年4月、国連から発表された「責任投資原則」も、世界の機関投資家の認識を大きく高めることに貢献した。
A前事務総長が提唱したイニシアチブとしては、すでに「グローバル・コンパクト」がある。
これは1999年1月31日に開かれた世界経済フォーラムの席上、事務総長が提唱したもので、企業のリーダーに国連機関、労働、市民社会とともに人権、労働、環境の分野における10原則を支持することを求めた呼びかけであった。
「責任投資原則」は、いわば、グローバル・コンパクトの金融版ということができる。
A前事務総長は「産業界がCSR(企業の社会的責任)に対する関心を高めているのに、金融界では依然として短視眼的なものの見方が支配的であることが問題だ。
環境、労働、人権などの問題への対応が企業業績に影響を与えているというのに、企業の努力に十分に報いている金融関係者は数多くない」と述べ、「個人投資家や機関投資家が参照できる普遍的なガイドラインが必要だ」という問題意識から、この責任投資原則を作成したと説明している。
そして、機関投資家、受託運用機関、投資専門サービス提供企業が、この原則を適用していくことで、国連の目指す持続可能で一体的なグローバル経済の実現という目標がより近づくと期待を述べている。
この趣旨に賛同して宣言に署名した機関投資家は2007年8月末現在93機関に及ぶ。
ヨーロッパや米国の株式市場では「カーボンリスク」という言葉がしだいに一般化してきた。
これは、地球温暖化がある水準まで進んだ場合、もしくは地球温暖化に関連して新たな規制措置が講じられた場合、企業業績にどの程度の影響が及ぶかを「リスク」としてとらえた概念である。
すでに、省エネなどの取組みを進めている企業や地球温暖化の物理的影響に対して適応策を講じている企業は、リスクが小さいと判断される。
また、逆の企業はリスクが大きいとされる。
このようにして株式市場での企業評価もすでに始まっている。
こうした株主の関心を物語るのが、カーボン・ディスクロージャー.プロジェクトと呼ばれるCO2排出に関する企業の情報開示を求める取組みの拡大だ。
カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトは、世界の主要機関投資家、運用機関、銀行、証券会社等が仙界の上位500社に地球温暖化問題への認識と対応に関わる情報開示を求め、その内容を公開するという内容で2002年にスタートした。
毎年1回実施される調査は、2007年には5回目を迎え、情報開示を働きかける側は、35機関から315機関に増え、その取扱資金は41兆ドルにも達している。
情報開示を働きかけられる企業の数も、当初の世界の上位500社から2007年には2400社に拡大している。
有価証券報告書や年次報告書のような、上場企業に義務付けられる開示資料のなかに、企業活動が地球温暖化にどれほど影響を与えているのかの情報を盛り込むことを求める声も大きい。
米国では2007年9月に、カリフォルニアやニューヨークといった州の州財務官やカリフォルニア公務員退職制度、カリフォルニア教職員退職共済年金、ニューヨーク州職員退職年金の代表者が、財務状態や事業遂行への温暖化の影響や温室効果ガス排出に関する規制の影響のうち重要性のあるものについて、開示を義務付けるよう制度を改正することを証券取引委員会(SEC)に要望している。
欧州連合では、2003年には欧州会社法の改正指令(2003/51/EC)が発効した。
この指令では、「企業の年次決算および報告書における環境問題の認識、測定、開示に関する委員会勧告(2001/453/EC)」の勧告に準じ、年次財務報告書において、適切な場合には、企業の発展、成果および位置付けの理解に必要と考えられる環境および社会的側面に関する分析をすることを求めている。
欧州連合の構成各国では、順次、この指令に基づいた国内法が制定されている状況にある(例えば、英国では2006年11月に会社法2006が成立した。
新しい会社法では上場企業に環境側面や労働やサプライチェーンといった社会側面に関する情報開示を義務付け、あわせて取締役の責務に、環境や社会に対する企業活動の影響に関する配慮が含まれることを明記した)。
世界では、「炭素制約社会」という言葉もしばしば聞かれるようになってきた。
これは、温室効果ガスの総量規制の影響によって企業行動に明確に制約が加わる、そうした時代を指して用いられている。
もちろん、多くの企業は、こうした時代の到来に強い抵抗感を有している。
経済の成長や企業の規模拡大が抑えつけられる、そうした懸念が頭に浮かぶからである。
しかし、一方で、こうした規制措置を企業経営にとってポジティブに作用する側面に光を当てた経営学者もいる。
1991年、ハーバード大学のM教授が提唱した「ポーター仮説」はその代表である。
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